ジョーカー(2019年)
2019年公開のアメリカのスリラー映画です。
本作品は、アメリカンコミック「バットマン」に登場するスーパーヴィラン(超悪役)、ジョーカー誕生を描いた作品です。
劇場公開当時のキャッチコピーは「本当の悪は笑顔の中にある」です。
この映画は、2019年のイギリスで暴力描写や暗いトーンを理由に、レイティングを15歳以上ではなく、18歳以上にすべきというBBFC(全英映像等級審査機構)への苦情が最も多かった映画だそうです。 また、少数ながらも上映禁止にするべきという強い意見もあったそうです。
基本情報
・公開年:2019年
・製作国:アメリカ
・原題:Joker
・配給:ワーナーブラザーズ映画
・上映時間:2時間2分(122分)
・映論区分:R15+(15歳以上(15歳未満は閲覧禁止))
・時代設定:1981年(アメリカンコミック「バットマン」に登場するアメリカの架空都市での物語)
みどころ
【みどころ①】ジョーカー役、ホアキン・フェニックスの演技
【みどころ②】幼きブルース・ウェイン(後のバットマン)の登場
【みどころ③】路地裏でトーマス・ウェインが息子ブルース・ウェインの前で殺害(バットマン誕生の要因)
スタッフ
監督:トッド・フィリップス
<主な作品>
「ハングオーバー」シリーズ
・ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い(2009年)
・ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える(2011年)
・ハングオーバー!!! 最後の反省会(2013年)
キャスト
ホアキン・フェニックス
<主な出演作品>
「グラディエーター」(2000)
「サイン」(2002)
「ヴィレッジ」(2004)
「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」(2005)
「ザ・マスター」(2012)
「her/世界でひとつの彼女」(2013)
「インヒアレント・ヴァイス」(2014)
「ビューティフル・デイ」(2017)
ロバート・デ・ニーロ
<主な出演作品>
「ゴッドファーザー PART II」(1974)
「タクシードライバー」(1976)
「アンタッチャブル」(1987)
「グッドフェローズ」(1990)
「レナードの朝」(1990)
「ヒート」(1995)
「アイリッシュマン」(2019)
受賞歴
第92回アカデミー賞(2020年)
・主演男優賞(ホアキン・フェニックス)
・作曲賞(ヒドゥル・グドナドッティル)
第43回日本アカデミー賞(2020年)
・最優秀外国作品賞
第77回ゴールデングルーブ賞(2020年)
・最優秀主演男優賞(ホアキン・フェニックス)
・最優秀作曲賞(ヒドゥル・グドナドッティル)
あらすじ ※ネタバレ注意
1981年、ゴッサムシティで暮らすアーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)は、
母親ペニーの「どんな時でも笑顔で」という言葉を胸に大道芸人(ピエロ)のアルバイトに励んでいた。
アーサーは、発作的に笑い出してしまう病気によって精神安定剤を服用しながら、定期的にカウンセリングを受け、年老いた母を養って2人で生活をしていた。
アーサーの夢は、一流のコメディアンになって人々を笑わせることで、日々思いついたネタをノートに書き記し、尊敬する大物芸人マレー・フランクリン(ロバート・デ・ニーロ)が司会を務める番組に出演して脚光をあびることを夢見ていた。
ある日、アーサーは大道芸人の同僚ランドルから護身用に拳銃を渡され、小児病棟へ慰問の際のパフォーマンスで誤って落としてしまい仕事をクビになる。
その帰り、絶望の気持ちで地下鉄に乗っていると、酔っ払った若い証券マン3人が女性をナンパしている場面に遭遇し、そこでも笑いの発作が出てしまう。気に障った3人はアーサーに暴行し、アーサーは反射的に全員を拳銃で射殺してしまう。
この地下鉄殺人は貧困層から富裕層への復讐と報道され、ゴッサム市民から支持を集める。
ある日、母から手紙を出すように頼まれるが、封筒をあけ中身を見てしまう。そこには自身がペニーとトーマス・ウェインの隠し子であることが書かれていた。
アーサーは、真実を確かめるためウェイン邸を尋ねるが、偶然庭にいたトーマスの息子ブルースと出会い、敷地の柵越しに手品を披露する。
そこへ駆けつけた執事アルフレッドに追い返されそうになるが、母とトーマスの関係を知ってることを伝える。アーサーは、アルフレッドに帰るよう言われるが、逆上しアルフレッドに掴みかかる。
自宅に帰ると、アパート前にはパトカーと救急車が集まっており、母親が脳卒中で病院へ運ばれる。
病院に訪れた刑事からは、母に地下鉄殺人のことを質問した際に過呼吸になったことを伝えられ、地下鉄殺人の調査の関係で小児病棟で拳銃をおとして仕事がクビになったことを聞かれる。
母の病室へ戻ると、テレビでマレーの番組が放送されており、アーサーが以前劇場で行ったトークが放送されている映像を目にする。
アーサーはトーマスに母親との関係を確認するため、従業員に変装して、映画館に訪れていたトーマスに会いに行く。
アーサーは、トーマスがトイレに立ったすきをみて、自分がペニーの息子であることを伝えるが、当時ペニーは妄想癖があり、彼女による騒ぎを大きくしないようトーマスが手引きして、養子にした孤児がアーサーであることや、恋人だった男にアーサーが虐待されているのを静観していた罪でペニーが逮捕されていたことを告げられる。
それを聞いたアーサーは発作で笑い出してしまいブルースに殴られる。
ある日、マレーの番組担当者から自宅に電話が掛かってくる。その内容は、番組でアーサーの劇場での映像を流したところ、反響があったので番組へ出演して欲しいという依頼だった。アーサーは念願の夢であったマレーの番組への出演依頼を受ける。
アーサーは、30年前の母のカルテを確認するためアーカム州立病院に訪れるが、持ち出しを断られ力尽くで奪い、それを持ち去る。そこにはトーマスの話と同じことが記載されていた。
絶望したアーサーは、病室で母ペニーを窒息死させる。
放送当日、アーサーは髪を緑色に染め、ピエロのメイク準備を進める。
そこへ母親の死のお悔みのため、元同僚のランドルとゲーリーが訪問する。以前、アーサーに拳銃を渡したランドルは、刑事が地下鉄殺人の聞き込みに来たことを伝え口裏を合わせようとするが、アーサーにハサミで殺害される。
アーサーは、ピエロのメイクを完成させ、赤紫のスーツに着替え、番組スタジオに向かう。
途中、張り込んでいた刑事に声をかけられるが、なんとか振り切り、番組の楽屋に到着する。
到着後、マレーと挨拶、軽い打ち合わせをし、ゲスト「ジョーカー」として出番が訪れる。
番組内でアーサーは、新しいネタを披露しようとするが、地下鉄で証券マン3人を殺害したことを告白し、ゴッサムの格差社会への積もり積もった怒りをぶちまけ、アーサーは突然拳銃を取り出してマレーを射殺する。
アーサーは、逮捕されパトカーで移送されるが、途中、ジョーカーの行動を支持する暴動者によって救い出される。
アーサーの行動により、ゴッサムシティはピエロに扮した市民の暴動がおき、家族3人で舞台を鑑賞していたトーマス・ウェインは、騒動を避けるべく路地へと逃げ込むが
それを見ていた暴徒によって妻とともに射殺され、息子ブルースだけが助かる。
その後、アーサーは病院でカウンセラーによる精神分析を受けるが、血の付いた足跡を残し脱走を図ろうとする。
感想
この映画は、バットマンの悪役「ジョーカー」誕生を描いた作品で、バットマンとの対決はありません。またアメコミ要素もありません。社会的弱者が悪へと変貌していく人間ドラマに近い作品です。
架空都市ゴッサムシティでの話ですが、現実的な内容でアメコミやヒーローものに興味がない方でも楽しめる作品と思います。
なによりも、ホアキン・フェニックスの演技が秀逸で、本当にそういう人物なのかと思わせるほどの演技でした。映画「グラディエーター」から19年経っていますが、マキシマスに嫉妬していたルキウス皇帝と同じ人物とは思えない演技でした。
主演のホアキンは、4か月かけて24kgの減量を行ったそうで、2か月はワークアウトなどを自力で行い、残りの2か月は栄養士と共に「かなり特殊なカロリー制限のダイエット(ビタミン剤やミネラルは摂取するがカロリーは摂らない)」に取り組み、骨と皮だけにしあげていったそうです。
確かに、ホアキンが裸で踊るシーンがありますが、痩せすぎてCGで加工してるのではと思わせるほどの体系で、見終わった後に24kg減量したと知り、役者としてのプロ意識を感じました。
ジョーカーがバットマン映画「ダークナイト」に登場したときに口に傷がありましたが、今回の作品ではそれについて語られていませんでした。バットマン映画のファンとしては少し残念に思いました。
この映画がよかった人へのおススメ映画
バットマン ビギンズ(2005年)
ダークナイト(2008年)
ダークナイト ライジング(2012年)
評価
4.0点/5点満点