グラン・トリノ(2008年)
2008年公開のアメリカのドラマ映画です。監督・主演は、クリント・イーストウッドで彼の存在感と演技が光る作品です。
タイトルのグラン・トリノとはフォードの車種、フォード・トリノのうち、 1972年~1976年に生産された第三世代のものを指します。
クリント・イーストウッドは、2008年の本作を俳優業最後の仕事と位置づけ、公開時のインタビューにおいて、今後は監督業に専念して俳優業から引退すると語っています。しかし、後のインタビューで「演じたい役があれば(俳優に)戻ってくるかもしれない」ので、自身からは「引退」という言葉は用いないという趣旨の発言もしており、2012年にはその発言を裏付ける様に「人生の特等席」で老いたメジャーリーグのスカウトマン役として、4年ぶりに映画に出演しています。(監督兼務ではない出演者としては19年ぶり)
基本情報
・公開年:2008年
・製作国:アメリカ
・原題:Gran Torino
・配給:ワーナーブラザーズ映画
・上映時間:1時間57分(117分)
・映論区分:?
・時代設定:2000年代
みどころ
【みどころ①】ギャングのアジトでの最後のシーン
【みどころ②】コワルスキーの少年タオに対する気持ちの変化
スタッフ
監督:クリント・イーストウッド
<主な作品(監督)>
バード(1988年)
許されざる者(1992年)
パーフェクト・ワールド(1993年)
マディソン郡の橋(1995年)
スペース カウボーイ(2000年)
ミスティック・リバー(2003年)
ミリオンダラー・ベイビー(2004年)
父親たちの星条旗(2006年)
硫黄島からの手紙(2006年)
グラン・トリノ(2008年)
ジャージー・ボーイズ(2014年)
アメリカン・スナイパー(2014年)
ハドソン川の奇跡(2016年)
運び屋(2018年)
キャスト
クリント・イーストウッド
<主な出演作品>
「荒野の用心棒」(1964年)
「夕陽のガンマン」(1965年)
「アルカトラズからの脱出」(1979年)
「ダーティハリー」シリーズ
・「ダーティハリー」(1971年)
・「ダーティハリー2」(1973年)
・「ダーティハリー3」(1976年)
・「ダーティハリー4」(1983年)
・「ダーティハリー5」(1988年)
「ザ・シークレット・サービス」(1993年)
「パーフェクト・ワールド」(1993年)
「マディソン郡の橋」(1995年)
「ミリオンダラー・ベイビー」(2004年)
「グラン・トリノ」(2008年)
「運び屋」(2018)年)
受賞歴
第回日本アカデミー賞(2010年)
・最優秀外国作品賞
世間の評価自体は高く、興行もよかったのですが、アカデミー賞は同じワーナー・ブラザースのブラッド・ピット主演「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」が作品賞にノミネートされています。
あらすじ ※ネタバレ注意
フォードの自動車工を50年勤めあげたポーランド系アメリカ人コワルスキー(クリント・イーストウッド)は、最愛の妻を亡くし、愛車グラン・トリノを誇りに、世間では日本車の販売が増加して、住民も今や東洋人の町となったデトロイトで隠居暮らしを続けていた。
家には常に国旗を掲げ、自宅のポーチで缶ビールを飲むという生活を毎日送っていた。
コワルスキーは、頑固さゆえに息子たちにも嫌われ、限られた友人と悪態をつき合う日々で、亡き妻が頼っていた神父も近づけようとしなかった。
コワルスキーを意固地にしたのは朝鮮戦争での己の罪の記憶であった。
ある日、彼の家にギャングにそそのかされた隣家のモン族の少年タオが愛車を盗もうと忍び込むが、コワルスキーの構えた銃の前に逃げ去る。
なりゆきで、タオや姉スーを不良達から救い、スーにホームパーティーに招かれ、丁度ビールを切らしていたこともありパーティーに参加する。コワルスキーは、もてなしてくれた彼ら家族に温かさを感じ徐々に打ち解けていく。
その後、タオの母と姉スーは、タオに車を盗もうとした償いをさせるためにコワルスキーの家で働かせてもらうよう頼み、仕方なく受け入れる。さらにタオに仕事を世話して一人前の男にさせることを頼まれる。
そんな中、コワルスキーは咳をしたときに吐血することから、自身の体調に不安を感じ病院へ行く。診断の結果をみたコワルスキーは病が体を蝕んでいることを知る。
一方、モン族のギャングが、タオにさらなる嫌がらせを加える。それを聞いて激昂したコワルスキーはギャングの一人に報復するが、その報復としてギャング達はタオの家に銃を乱射し、スーに暴行する。
コワルスキーは、復讐の念に燃えるタオを家に閉じ込め、この状況に決着をつけるためコワルスキーはある作戦を胸にひとりでギャング達のアジトに向かう。
コワルスキーは、ギャング達のアジトの前で、タバコをくわえて、銃を取り出すかのように上着のポケットに手を入れる。恐怖に駆られたギャングはコワルスキーを射殺するがポケットにあったのは第一騎兵師団のジッポーであった。
タオが急いで現場に向かうと、そこにはシートをかぶせられたコワルスキーの遺体があった。
現場の警官に聞くとコワルスキーは武器を持たずに、一人でギャングの家に向かっていったこと、そして、周囲の複数の住人による目撃証言がある事と、コワルスキーが丸腰だったことから、ギャング達は長期刑が見込まれることが分かる。
タオの未来の為に、自らの命を引き換えにしたコワルスキー。遺書には「愛車グラン・トリノをタオに譲る」と記されていた。
そのグラン・トリノでコワルスキーとの思い出を胸に海岸線を走るタオ。タオは、生涯、友人コワルスキーを忘れないだろう。
感想
以前から気になっていた映画の一つで、もっと早く見ればよかったと思うぐらい良い作品でした。
映画タイトルは、1972年に生産されたアメリカ(フォード)の車の名前ですが、車を使ったカーチェイス、レースなどのシーンはありません。どちらかと言うと人間ドラマを描いた作品です。
地味な映画ですが、クリント・イーストウッドの存在感、演技が光る深みのある作品です。シンプルでわかりやすく、遠慮なく正直になんでもいうけど実は優しい爺さん役のクリント・イーストウッドに引き込まれました。
最後はよくある映画のように復讐するかと思いましたが意外な結末でした。最後の最後で心を揺さぶられました。
この映画がよかった人へのおススメ映画
アメリカン・スナイパー(2014年) (クリント・イーストウッド監督)
ハドソン川の奇跡(2016年) (クリント・イーストウッド監督)
評価
4.1点/5点満点